長短金利差、日本で再拡大 日銀の利上げ加速織り込みなお不透明
日本国債市場で2年債と10年債の金利差が再び拡大している。日銀の利上げペース加速への織り込みが不透明な中、インフレと財政悪化への懸念が長期金利を押し上げている。
日本国債市場で、2年債と10年債の利回り差が再び拡大していることが分かりました。中東情勢の緊迫化を背景に世界の原油先物価格が上昇し、インフレ懸念から世界的に金利が上昇する中、日米独の長短金利差を比較すると日本だけが異なる動きを見せているとの指摘が出ています。
背景にあるのは、日銀の利上げペース加速がどこまで市場に織り込まれるか不透明な状況です。政策金利の影響を受けやすい2年金利の上昇は限定的にとどまる一方、利上げが後手に回りインフレに火が付くのではないかという懸念や、財政悪化への不安から10年金利の上昇が加速しているとみられます。
こうした中、市場心理の転換点となったのが、日銀政策委員会でタカ派とみられる高田創審議委員の発言でした。高田委員は7月の金融政策決定会合で利上げ議案を提出しましたが、その際は否決されています。しかし先週、25ベーシスポイントを超える利上げや連続利上げも選択肢になり得るとの見解を示し、市場に大きなインパクトを与えました。同委員は、これまで市場では2028年まで半年ごとに25ベーシスポイントずつ利上げが続くとの見方が一般的だったものの、2026年は海外動向を踏まえたデータ次第の機動的な対応に転じる「レジーム転換」の年になり得るとの認識も示しています。
この発言をきっかけに、円相場や円金利市場では円高・イールドカーブのフラット化への転換が意識され始めたとされています。野村證券は7月の決定会合とその後の日米協調による為替介入などを踏まえ、政策金利見通しを改定し、2026年9月、2027年1月、同年4月にそれぞれ25ベーシスポイントずつ利上げが行われ、政策金利が1.75%まで上昇するとの見方を示しました。同社は2027年度下期に2年超から10年のイールドカーブが顕著にブル・フラット化すると予想しています。
9月16日の国内株式市場では、日経平均株価は前日比438.9円高(+0.69%)の6万3923.00円で推移し、TOPIXは105.18ポイントとほぼ横ばいでした。為替市場ではドル円が155.09円で取引されており、金利をめぐる思惑が株式・為替市場にも一定の影響を与えている可能性があります。
長短金利差の拡大は、日銀が必要なだけの利上げを適切なタイミングで実施できるかどうかという市場の信認と密接に関わっているとみられます。原油価格の動向やインフレ期待の上振れが続けば、日銀の利上げペースやターミナルレート(利上げ到達点)を巡る見方はさらに揺れ動く可能性があります。今後は日銀の政策運営スタンスと財政の持続可能性への懸念のバランスが、長短金利差の行方を左右する焦点になりそうです。
