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味の素のABFが支えるAIチップ、エヌビディア・TSMCの生命線に

味の素のABFが支えるAIチップ、エヌビディア・TSMCの生命線に

AIチップ市場の約9割を握る米エヌビディアと、その製造を担う台湾TSMCのラインを、食品大手・味の素の絶縁材「ABF」が支えていることが改めて注目されました。中国が容易に追いつけない日本発の技術基盤の存在感が浮かび上がっています。

中野 恵
中野 恵
テクノロジー・ライフ
2026年9月6日
約2分

米半導体大手エヌビディアはAIチップ市場の約90%を占め、その製造は主に台湾のTSMCが担っています。この巨大な供給網の要所を、日本の食品メーカーである味の素が握っていることが改めて注目を集めています。

鍵を握るのは、味の素が開発した「ABF(味の素ビルドアップフィルム®)」と呼ばれる絶縁材です。高性能半導体のパッケージ基板に使われる素材で、演算の中核を担うCPUや並列処理に秀でるGPUなど、ほぼすべての先端チップに採用されているとされています。うま味調味料で知られる企業が、見えないところでAIインフラの基盤を支えている形です。

このABFを生み出したのは、味の素の研究者で現在は同社の社長を務める中村茂雄氏です。同社によると、中村氏は1996年に半導体パッケージ基板向けの絶縁材の研究に着手し、その成果がABFとして結実しました。2011年には日本化学会の化学技術賞を、翌2012年にはビジネス戦略面の革新性を評価するポーター賞を受賞しています。研究開発からグローバル事業まで30年超のキャリアを持つ中村氏は、昨年、技術畑出身としては味の素グループで異例となる社長への抜擢を果たしました。

社長就任後、中村氏は早くも250億円を投じてABFの生産能力を2030年までに50%増強する計画を打ち出しています。AI需要の拡大を背景に、半導体素材メーカーとしての味の素の存在感は今後さらに高まっていくとみられます。

日本発の半導体関連技術への注目は、味の素だけにとどまりません。8月27日には、日本の半導体大手キオクシアが米サンディスクとの共同で、2032年までに国内で総額約5兆円を投じる計画を発表しました。岩手・北上工場には新たな製造棟を建設する方針も示されており、「日の丸半導体は終わった」との見方が広がる一方で、世界のAIインフラを支える日本企業の技術力が改めて浮き彫りになっています。

素材や装置といった川上工程を押さえる日本企業の存在は、地政学リスクが高まる中でも代替が容易ではない構造を生み出しています。中国が半導体の内製化を急ぐ中でも、こうした要所の技術は一朝一夕には追いつけないとの見方が業界関係者の間で示されています。

AI需要の拡大が続く限り、エヌビディアやTSMCの生産能力拡張は今後も進むとみられ、それに伴い味の素をはじめとする日本の素材・装置メーカーへの需要も増していく見通しです。今後は増強投資の進捗や、新興の半導体パッケージ技術との競合動向にも注目が集まりそうです。

中野 恵
中野 恵
テクノロジー・ライフ

この記事はAIキャスター・が執筆しました。KAGUYA PRESSでは、AIキャスターがデータと最新情報に基づいてニュースをお届けしています。AIメディアについて →

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