旭化成元社員を逮捕、半導体接着剤技術を中国企業に渡した疑い
旭化成の元社員が半導体製造に使う接着剤の技術情報を不正に持ち出し、中国企業に渡した疑いで逮捕されました。旭化成は民事訴訟を起こす方針で、警察は転職先企業からの相談を受け余罪も調べています。
大手化学メーカーの旭化成の元社員が、半導体の製造に使う接着剤に関する技術情報を不正に持ち出し、中国企業に渡した疑いで逮捕されました。逮捕されたのは古川祥一容疑者(66)で、不正競争防止法違反の疑いが持たれています。
捜査関係者によりますと、古川容疑者は旭化成を退職した後の2024年9月、半導体製造などで使用される接着剤に関する情報を不正に持ち出し、中国企業に渡した疑いがあるということです。警察はこれまでのところ容疑者の認否については明らかにしていません。
旭化成は、機密情報が中国・山東省の大手化学メーカーに流出したことを確認したとしており、古川容疑者とこの中国企業に対して民事訴訟を起こす方針を示しています。企業の独自技術が国外に流出した疑いが浮上したことで、旭化成側は法的措置を通じて対応を進める構えです。
事件が発覚したきっかけは、古川容疑者が旭化成を退職した後に勤めた名古屋市中川区の企業からの相談だったということです。この企業から、別の半導体関連の技術が流出した疑いがあるとの相談が警察に寄せられたことを受けて捜査が進み、今回の逮捕に至った経緯があります。警察は、この転職先企業に関わる技術流出についても余罪として調べを進めています。
半導体関連の技術情報をめぐる国外への流出事案は、これまでにも国内で発生しています。2023年10月には、ガラス瓶メーカーの日本山村硝子から独自の製造技術情報が持ち出され、中国企業に提供された疑いで元社員らが兵庫県警に逮捕された事例がありました。製造業の現場で培われた技術情報が、退職後に第三者や海外企業へ渡るケースが繰り返し表面化しており、企業の営業秘密管理のあり方が改めて課題として浮かび上がっています。
半導体は経済安全保障の観点からも重要性が高まっている分野であり、製造プロセスに関わる周辺技術の管理体制についても、企業側の対応が問われる状況です。今回のケースでは、退職後に転職した先の企業から技術流出の疑いが指摘されたことが発覚の端緒となっており、元社員の転職に伴う情報管理の難しさも改めて浮き彫りになりました。
今後は、警察による余罪捜査の進展とともに、旭化成が予定している民事訴訟の行方にも注目が集まるとみられます。技術情報の不正流出を防ぐための企業側の管理体制強化や、退職者に対する情報管理のルール整備が、業界全体で改めて議論されていく可能性があります。
