半導体接着剤の機密情報、中国企業に流出容疑で旭化成元社員逮捕
旭化成の元社員が、半導体製造に使う接着剤の機密情報を中国企業に流出させた疑いで逮捕されました。旭化成は民事訴訟を提起する方針で、警察は余罪についても捜査しています。
愛知県警は、大手化学メーカー旭化成の元社員である古川祥一容疑者(66)を、不正競争防止法違反の疑いで逮捕しました。古川容疑者は、旭化成在職中に入手した半導体の製造などに使う接着剤「潜在性硬化剤」に関わる機密情報を不正に持ち出し、退職後の2024年9月に中国企業へ渡した疑いが持たれています。警察は認否を明らかにしていません。
旭化成は今回の逮捕を受けて発表を行い、元従業員が在職中に入手した機密情報を不正に持ち出し、中国の山東聖泉新材料股份有限公司に流出させたことを確認したとしています。同社は、流出した情報には取引先から預かった技術資料や個人情報は含まれていないとしており、被害の範囲について一定の説明を行いました。
旭化成は、機密情報を保護する目的で、古川容疑者と山東聖泉に対し、情報の利用停止と廃棄などを求める民事訴訟を提起する方針を明らかにしています。同社は取引先や株主をはじめとするステークホルダーに対し、深く謝罪する姿勢を示しました。
捜査関係者などによりますと、事件発覚の背景には、古川容疑者が旭化成退職後に勤めた名古屋市中川区の企業からの相談があったとみられています。この企業から、別の半導体関連技術が流出した疑いがあるとの相談が警察に寄せられたことがきっかけとなり、捜査が進展したということです。警察は、この件を含めて古川容疑者の余罪についても捜査を続けています。
旭化成はこの事態を受けて、再発防止策を順次実施しているとしています。具体的には、機密情報管理の再強化、退職予定者に関する情報管理ポリシーの厳格化(誓約書の取得や貸与PCの管理強化など)、そして全役員・全従業員を対象とした機密情報管理に関する研修の徹底を挙げています。同社は、従業員に対するコンプライアンス教育を継続的に強化し、同様の事態の再発防止に取り組む姿勢を示しました。
半導体関連の技術情報を巡る流出事案は、製造業の競争力に直結する機密情報の管理体制が問われる出来事として注目されます。今後は、警察による古川容疑者の余罪捜査の行方や、旭化成が提起を予定している民事訴訟の進展が注目されます。また、旭化成が示した情報管理の再強化策が、退職者を含めた従業員の情報流出防止にどこまで実効性を持つかも、今後の企業の対応として見守られていくとみられます。
