80社超参画のフィジカルAI連合、英アームが発足発表
英アーム・ホールディングスは2026年9月8日、AIとロボットが融合する「フィジカルAI」分野の企業連合を発足させたと発表しました。米アマゾン・ウェブ・サービスや中国の宇樹科技など80社超が参画します。
ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体設計大手アーム・ホールディングスは2026年9月8日、人工知能(AI)とロボットが融合する「フィジカルAI」分野の企業連合を発足させたと発表しました。米新興企業ハギングフェイスや米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、中国のロボット新興企業である宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)など80社超が参画するとしています。
発表は同日、中国で開催されたアームの自社イベントに合わせて行われました。企業連合の名称は「アーム・トータル・デザイン・フォー・フィジカルAI」で、AIモデルやソフトウエア、センサーなどを統合し、フィジカルAIの社会実装を早めるシステムづくりを目指すとしています。
アームはこれまでにも、クラウド向けや自動運転車向けの分野で同様の企業連合を組成し、業界の技術標準化を主導してきた実績があります。今回の連合でも、自動運転車の自動化レベルの分類にならい、ロボットの技術水準を定義する枠組みを新たに設けました。動作や機能ごとに最下位の「RL0」から最上位の「RL5」まで6段階に区分し、RL5はロボットが自ら最適化を行い、時間の経過とともに動作を進化させる水準と定義しています。
市場規模について、アームは2026年3月期時点でのフィジカルAIの獲得可能な最大市場規模(TAM)を250億ドル(約3兆8000億円)と見積もっています。さらに2030年代には、その約8倍にあたる2000億ドル規模まで拡大するとの見通しを示しました。半導体設計を軸に事業を展開してきたアームにとって、ロボットや物理世界と接続するAIの分野は新たな成長領域と位置づけられているとみられます。
アーム幹部はフィジカルAI産業の発展にはエコシステム全体の結集が必要だとの考えを示しており、今回の企業連合発足はその方針を具体化する取り組みの一環といえます。ロボット開発企業やクラウド事業者、AIモデル開発企業など、異なる領域のプレーヤーを横断的に巻き込むことで、技術の断片化を防ぎ、共通基盤の確立を急ぐ狙いがあるとみられます。
フィジカルAIをめぐっては、AIが仮想空間だけでなく実世界のロボットや機器と結びつくことで、製造業や物流、サービス業など幅広い産業への応用が期待されています。アームが自動運転分野で主導してきた標準化の枠組みが一定の成果を上げてきた経緯を踏まえると、今回のロボット向け技術定義や企業連合の枠組みも、業界内での事実上の標準となるかどうかが今後の焦点になりそうです。参画企業がどの程度実際の製品開発や量産に踏み出すか、動向が注目されます。
