キオクシア、2025年度売上首位に JASMは前年度比143倍で急伸
東京商工リサーチの調査で、国内半導体関連メーカー154社の2025年度売上高合計は7兆9115億円(前年度比17.1%増)となり、キオクシアが首位を維持、JASMは前年度比約143倍という突出した伸び率を記録しました。
東京商工リサーチ(TSR)は9月4日、国内の主要な半導体関連メーカー154社を対象とした2025年度の業績調査結果を発表しました。生成AIの普及やデータセンター向け需要の拡大に加え、NAND型フラッシュメモリの供給不足に伴う販売価格の上昇などが業績を押し上げた形です。
売上高ランキングの首位となったのはキオクシアで、売上高は前年度比38.5%増となりました。AIの普及に伴うデータセンター向け大容量・高速SSDの需要拡大に加え、NAND型フラッシュメモリの販売単価上昇などが業績を押し上げたとみられます。2位はソニーセミコンダクタソリューションズで、スマートフォン向け積層型CMOSイメージセンサーの大型化・高感度化や、車載・産業用カメラ向けセンシング需要の拡大が寄与しました。3位はルネサス エレクトロニクスで、自動車の電子化・高度化を背景とした車載用マイクロコントローラの需要に加え、産業機器やIoT向け半導体の需要を取り込んだと報じられています。
一方、売上高の伸長率で最も高い数値を示したのは、TSMCの日本子会社であるJapan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)でした。2025年度の売上高は724億2000万円で、前年度比の伸長率は1万4240.5%増、約143倍という突出した数字となりました。熊本県菊陽町の工場が初めて通年で稼働し、半導体の量産出荷が本格化したことが急成長につながったとみられます。売上高が前年度比100%以上増加した企業は3社で、構成比は1.9%にとどまっており、JASMの伸び率がいかに際立っていたかがうかがえます。
売上高上位5社の合計は、154社全体の79.1%を占めました。半導体製造では研究開発や生産設備に多額の投資が必要になるため、規模の大きな企業へ売上高が集中する傾向が鮮明になっています。売上規模別に見ると、売上高500億円以上は18社で前年度から1社増加し、10億円以上の企業は全体の44.1%を占める68社となりました。
利益面では二極化が進んでいます。2025年度の最終利益が黒字だった企業は113社で、全体の73.3%を占め、前年度の107社(69.4%)から6社増えました。その一方で、黒字を維持しながら減益となった企業は66社に上り、構成比は42.8%に達しています。シリコンウェハや特殊ガスなどの材料費、エネルギー価格の上昇に伴う工場の光熱費、人手不足を背景とした人件費の増加などが減益要因として挙げられており、汎用品の需要低迷やコスト上昇分の価格転嫁が進まなかった企業では、売上高の拡大が利益増につながらない状況もみられたということです。利益合計は前年度比5.4%増となったものの、2024年度の同500.8%増からは成長率が大幅に鈍化しており、業績の伸びに勢いの変化が見て取れます。
生成AIやデータセンター向け半導体需要は国内メーカーの業績を押し上げている一方、売上高は上位企業への集中が進み、利益面ではコスト上昇への対応力によって明暗が分かれる状況が続いています。今後は、AI向け高付加価値製品の需要をどこまで取り込めるか、そして増加する設備・材料・人件費を販売価格へどう反映していけるかが、各社の収益を左右する焦点になりそうです。
