旭化成半導体技術が中国企業に流出、元責任者逮捕
旭化成の半導体関連技術が中国企業に流出したとして、元開発責任者の男が不正競争防止法違反容疑で逮捕されました。国内企業の技術流出事件が相次いでいます。
旭化成が保有する半導体関連技術が中国企業に流出したとして、同社の元開発責任者の男が不正競争防止法違反の容疑で逮捕されたことが明らかになりました。捜査当局は、男が在職中に得た営業秘密にあたる技術情報を不正に持ち出し、中国企業側に提供した疑いがあるとみて調べを進めています。
半導体分野の技術情報は、スマートフォンや自動車、医療機器など幅広い産業の基盤となる中核技術として位置づけられており、企業にとって長年の投資と研究の成果が集約された営業秘密にあたります。こうした情報が海外の競合企業に流出すれば、企業の競争力だけでなく、国内産業全体への影響も懸念される事案といえます。
国内企業からの技術流出事件は、近年たびたび報じられています。韓国では、SKハイニックスの元社員が中国・上海事務所への駐在中に、画像センサー(CIS)関連の機密文書を中国企業への転職活動に利用する目的で不正に持ち出したとして起訴され、韓国最高裁は今年8月13日付で懲役1年6月の実刑判決を確定させました。判決では、企業が長年投資して開発した技術が海外の競合他社に流出すれば、企業の損失だけでなく国家競争力の低下を招くと指摘されています。
また、国内でも茨城県つくば市の産業技術総合研究所(産総研)において、中国籍の元主任研究員がフッ素化合物の合成技術に関する研究データを中国企業にメール送信したとして起訴され、東京地裁は懲役2年6月、執行猶予4年、罰金200万円の判決を言い渡した事例があります。判決では、被告の妻が代表を務める中国企業での実用化を目指した犯行であり、計画性が高く巧妙で悪質と断じられています。
こうした事案が相次ぐ背景には、高度な技術情報を持つ人材が国境を越えて移動する機会が増えている一方、企業や研究機関側の情報管理体制が必ずしも十分に対応できていない実態があるとみられます。特に半導体分野は各国が国家戦略として技術獲得を進めている分野であり、人材や情報の流出は経済安全保障上の課題として注目されています。
日本国内では、経済安全保障上の機密情報を扱う人材を限定する「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」制度が重要経済安保情報保護・活用法に基づき今年5月から始まっています。同制度では、情報を漏らした場合に5年以下の拘禁刑か500万円以下の罰金、またはその両方が科されることになっており、民間企業の従業員も対象となり得る仕組みです。
今回の旭化成の事案についても、今後の捜査の進展により流出した技術の範囲や、中国企業側での利用実態などが明らかになるとみられます。半導体関連技術の管理体制の強化や、退職者・在職者に対する情報管理教育の見直しが、国内企業に広く求められる可能性があります。
